外国語の遺言書

配偶者が外国人なので、どちらが先に亡くなっても、全ての財産が相手に行くように、互いの身内と揉めないように、それぞれ公正証書遺言書を書いておきたいのですが、日本語はある程度通じますが、遺言書を書けるほど理解はしていないし、日本語も書けません、そういう場合は、外国語でも構いませんか?

先月ご結婚されたばかりのお二人から、問い合わせがありました。
公正証書遺言は、日本語で作成することになっています。ですから、遺言者が日本語が出来ない場合は、通事(古い言葉ですね・・通訳の事です)を立ち会わせることが必要となり、外国語で口述して、それを日本語に訳してもらうことになります。

ちなみに、自筆証書遺言や、秘密証書遺言は外国語で遺言書を書くことが出来ます。

納得できない遺産分割相談

長く相続の相談をしていますと、いろんな事があります。

もちろん、相談される方のその人なりの個性や、主張もありますが、一番、説明が辛いというか、難しいものに2つあります。

一つは、相続人でない人から極端に多額の相続財産請求についての相談

もう一つは、相続が始まる前に、既に自分の取り分について予定している方からの相談

最初の相続人でない方からの相談は、そもそも、あり得ないし、相続人でないのですから、その方は遺産分割の席には着くことは出来ません。

もちろん、寄与分などありますので、それについては相談も出来るのですが、財産の半分欲しい・・・など、極端だと話は変わります。内訳を聞くと、例えば病院へお見舞いしたから、その日の日当・・なんて、どう対応していいか解らなくなります。

具体例を挙げて説明するのですが、納得いかないようで、裁判のやり方は?など、質問されてしまいます。もっとも、裁判やっても、弁護士費用のほうが高いと思うのですが・・・

二つ目は、相続が始まる前から、言い方を変えると親の財産の処分について計画している方からの相談・・

生前贈与の話かと思い、聞いていると、どうやら長男だから、全て自分が相続すると堅く信じ、それを基に現在、不動産関係の業者から見積もりをとっているとの事。日程?が迫っており、急いでいたのかもしれません。

相続は他のご兄弟にも権利がありますし、そもそも、生前贈与は財産の所有者の親が決める事ですから・・・と伝えても、納得してもらえない(もちろん、親、兄弟は関係ないから伝えていないとの事)。

言い方を変え、何度も説明するのですが、「理不尽」と一喝。

説明が悪かったか・・と、もっと丁寧に説明するのですが、やっぱりダメ。

よく聞くと、他の有料、無料相談をハシゴして、どこへ行っても同じ事をしか言わない!言い出す始末。(私の相談の後、また他の方に相談して、理不尽と叫ぶのかな・・)

相続が本当に始まったら、完全にもめそうだな・・・と思いつつ、その時はまた、ご相談くださいとお伝えしました。ここから相続人同士の調整など必要となります。

遺言書は愛情です・・

「家族が揉めないよう、遺言書は書いておいた方がいいよ」なんて言われると、家族を悪く言われたように感じます。我が家はみんな仲が良くて、優しい子ばかりで、私が死んでも、お母さんを大切にして、相続で争ったりはしない。私は、家族を信じている。

お父さんのおっしゃるとおりだと思います。でも、それは、今だからです。もちろん、お父さんが亡くなった後も、揉めることなく、仲の良い家族はいらっしゃいます。

しかし、相続する側の経済状況、意識の変化などがあった場合は、どうでしょうか。

ちょうど、長男の子供が大学進学を控えていたり、次男が家を買ったりと、それぞれが、お金を必要としている時に、相続が始まったら・・・長女の夫がリストラや減給で、今まで安定していた収入が途絶えた時に、相続が始まったら・・・様々な事情があります。

争う気持ちが無くても、財産をもらえるなら、少しでも多くもらいたい、という思いは起きます。それが素直な気持ちだと思います。

そして、例えばお母さん、長男長女の、相続人が3人であっても、子達に配偶者がいたり、子供がいれば、相続する権利が無い人が、ほとんどの場合、口出ししてきます。

遺言書を書くのは、家族を信じていないからではありません。

自分の死後、財産を誰に、どのように相続させるか、自分の意思でしっかり決め伝えることは、遺された家族への愛情です。書き方については遺言書の書き方をご覧ください。

遺言書の撤回

長く生きていると、環境の変化や、自分自身の心の変化が起こるのは当然です。
「介護を熱心にしてくれる長男の嫁にも財産を遺したい」
「暴力を振るうようになった息子に財産を渡したくない」
公正証書遺言を作って時間が経つと、遺言の一部を撤回したいとか、全て撤回したいと、考え方や、気持ちが変わるのも、当然のことです。

例えば、以前作成した公正証書遺言を、その後作成する公正証書遺言をもって、一部、または全部を撤回することもできますし、その後に作成する自筆証書遺言でも撤回することもできます。

ちなみに、遺言者が生きている限り、財産はご自分のものです。
死ぬまでに、遺言書に書いてある財産を使い切ってしまったとしても、それは罪にはなりません、安心して、使って下さい?

遺言執行者が任務を怠った場合の解任

遺言執行者を任命しておくことは、遺産分割を実際に行う際、相続人にとっては、ありがたい存在だと思うのですが、その、遺言執行者が、その任務を怠った場合、つまり、期待通りの仕事をしなかった場合は、どうしたらいいでしょうか。

「父の遺言で、遺言執行者は長男となっているのに、兄は、全く何もしない。それどころか、相続財産をはっきりさせず、使い込んでいる。兄に遺言執行者を辞めてもらいたい」というような相談は、意外と多いものです。

遺言執行者の解任は、「任務を怠ったとき、またその他正当な理由があるとき」に、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができます。そして、解任されるか否かは、家庭裁判所の審判によります。
「任務を怠ったとき、またその他正当な理由があるとき」とは、遺言執行者が任務を実行しない、相続財産を相続人に渡さない、執行行為の報告を拒絶する、などです。
また、遺言執行者が長期にわたって、病気などを患い、執行行為ができない時や、海外に転勤となり不在となったな等、「正当な理由」となります。

このような場合、解任も出来ますが、新たな選任も出来ます。選任も実は解任と同じように家庭裁判所へ申請する事になります。

形見分けという遺産分割

亡った母の借金がかなりの額で、相続放棄したいのですが、兄のせいで、相続放棄ができないのではと、相談がありました。

相続人は兄弟2人。お兄さんも、「借金があるなら、相続放棄する」と言っているそうですが、お母さんが亡くなられた翌日に、お母さんの宝石類を持ち出して、それを売り自分の家のローンの返済に充てたそうです。お兄さんの言い分は、「これは形見分けの品だ」そうなのですが・・・

相続財産の全部又は、一部を処分したら、それは単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなります。しかし、相続人のうちの一人が処分行為をしても、他の相続人は相続放棄をすることができるので、弟さんは相続放棄できます。

今回の「形見分けの品」という、お兄さんの言い分は、ローンの一部に当てるだけの、高価な物であったのなら、それは、もう「形見分けの品」ではなく、「財産の一部を処分」したと考えられても仕方がないかと・・・

「形見分け」と「相続財産の処分」の明確な線引きはありませんが、相続財産の総額や、処分財産の価格、相続人の財産状況など、総合的に考える必要があると思います。

家庭裁判所と相続手続き

相続手続きの中には、家庭裁判所が関係する業務がありますので、ここでまとめてみたいと思います。相続遺言相談センターでは家庭裁判所への手続きサポートも行っていますのでお気軽にお問い合わせください。

1 遺言書の検認

公正証書遺言以外は、家庭裁判所での検認がなければ、有効とされません。この場合の有効とは、例えば、遺言書を基づいて不動産の名義変更などを行う場合です。

2 相続放棄

相続放棄については、HPの中でも紹介しましたが、相続が発生した事を知った時から3ヶ月以内ですに申述する必要があります。

ただし、よく誤解されるのは、たとえば相続が発生した事を半年前に知って、今、借金がある事を知った場合、借金も相続財産ですから、それを知った時、から3ヶ月、つまり、この場合、相続は半年前に発生していても、相続放棄可能という事になります。

3 不在者の財産管理人

相続人の中に行方不明の方がいる場合に家庭裁判所の不在者の財産管理人を選任するよう申し立てを行う事ができます。

ただし、ここで紹介しました、検認や放棄等と比べ、手続きに時間がかかる事が多いようです。

4 特別代理人の選任

たとえば未成年者が相続人の場合、通常、親が法定代理人となりますが、その親も相続人の1人の場合、親子とはいえ、利益相反となりますので、家庭裁判所へ特別代理人の選任の申し立てが必要となります、

5 遺産分割の調停

相続人の間で遺産分割についての話し合いがまとまらない場合、調停を利用して遺産分割を行うものです。詳しくは遺産分割をご覧ください。

ただし、あくまで、相続人全員の意見を調整するものであって、裁判所で決定されるものではありません。

毎月1回家庭裁判所に集まって・・などのため、少なくとも申請してから半年程度は時間がかかってしまいます。さらに、あくまで調整ですから徒労感を感じる方が多いように思います。

事務所では調停を行う前の段階の話し合いでスムーズに遺産分割が出来るようサポートしております。

もちろん、調停がだめなら、訴訟という流れになります。

 

 

遺言書をやぶいたら・・・

「つまらない事で子供達と喧嘩して、頭に来て、遺言書破いてしまった。先生どうしよう。」と電話がありました。

「遺言書の事は子供達には話してないが、父はこんなにおまえ達の事を思って、遺言書まで作たのに・・・と思うと、腹が立って腹が立って、つい遺言書をビリビリに破いてしまった」のだそうです。

 

さて、怒りが収まると、子供達への愛情は変わらないし、あのとき作った遺言書の中身も、

一所懸命考えて、これが一番いいと満足できたもの。やはりあの遺言書はそのまま残したいと言うのが、本心なんですが・・・

 

お父さん、安心して下さい。大丈夫です。

彼が作った遺言書は、公正証書遺言です。

遺言書の破棄は遺言書自体されないといけないので、手元の遺言書を破棄しても、公証役場に原本が保存されている限り、無効にはなりません。

 

また、遺言書の破棄は、遺言者本人の故意によることが必要です。

第三者が破棄した場合でも、遺言者の意思であれば、遺言者本人の破棄と見なされます。

 

公正証書遺言にしておいて、よかったですね。

遺産相続と少しの注意点

言うまでもありませんが、預貯金などの現金、自宅などの不動産などは遺産となりますが、それ以外にも趣味で集めたミニカーも遺産ですし、そして、借金も遺産となります。

つまり、遺産と言っても、プラスの財産もあれば、マイナスの財産もあります。
そして、プラスだけ、またはマイナスだけを相続する事は出来ません。
プラスもマイナスもひっくるめて遺産であり、それを相続する事になります。

それではマイナスの財産ばかりの場合、どうしたらいいでしょうか?
マイナスの財産の存在を知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申請を行う事で、遺産の全てを放棄する事ができます。

ただし、最初、マイナスと思って放棄したところ、その後、プラスの財産が出てきても、それから放棄した事を取り消す事は出来ません。
そのため、相続が始まった時に一番必要な事は財産の特定なのです。

ところで実務として、財産の特定を行う場合、ある程度判明している財産は良いのですが、全く不明な場合、どこまでやるかは、実際はキリがありませんので、相続人同士で一定の範囲を決めていただく事になります。

わかりやすい例でいえば、預貯金がある・・・けれど、どこの銀行か解らない・・・

こんなとき、ご近所の銀行を回って確認するのが現実的ですが、極端な事を言えば、全国の銀行に預金があったかどうか確認するのは・・・時間と手間を考えると現実的とは言えないと思います。

 

相続が発生する前の遺言書以外の対策=相続財産の保全について

相続が始まると、困ったことに・・・だから遺言書を作成しましょう・・という流れですが、それ以外にももっと、大切な事があります。

目の前にありすぎて、忘れている事があります。

それは相続財産の保全です。これは、名義変更がされていない不動産の名義を行うだけでなく、特に不動産の場合の名義を1人にする事です。

不動産は複数の方で所有することもできます。これを共有名義といいますが、相続が始まってから頭を悩ませる事が多いのが共有名義というものです。

不動産が共有名義のままで相続が開始すると、単純に相続人の数が増える事となります。不動産は人数分に分割して、売ればいい・・・という商品ではありません。家を建てるにも様々な基準あるため、土地が狭くなると、それだけで価値が下がります。また、土地に接する道路の問題から、分ける事が出来ない場合もあります。

つまり、不動産は、数人で所有する事は出来ても、数人で活用するには利害関係の調整が難しい商品です。

例えば、相続人全員で売却して現金で分ける場合でも、全員の意見が一致しなければ売れない事にもなります。

つまり、共有不動産は出来る限り、お1人で所有する形にしなければ、後々、面倒な事になりかねません。

もし、共有名義の土地をお持ちであれば、ご自身の所有とするか、あるいは他の方の所有にするかを決めて、贈与等の対策を行う事をお勧めします。

相続であれば、発生しないような費用が贈与の際には発生して、もったいない・・と思う方も多いのですが、相続で問題となれば、自分の配偶者や子供等へ迷惑をかける上、問題がこじれると、費用もかかり、また時間もかかります。